学校薬剤師って知ってる?

学校保健安全法(第23条)において、大学以外の学校には学校薬剤師を置くものとされており、学校薬剤師は薬剤師から任命し委嘱されます。また、学校においては、保健管理に関する専門的事項に関し技術及び指導に従事するものです。学校薬剤師は学校保健安全法第5条・6条・27条により、環境衛生及び学校安全の確保を図り、児童・生徒が最善の環境で修業できるよう努めています。

学校保健安全法

  • 第5条
    学校においては、児童生徒等及び職員の心身の健康の保持増進を図るため、児童生徒等及び職員の健康診断、環境衛生検査、児童生徒等に対する指導その他保健に関する事項について計画を策定し、これを実行しなければならない。
  • 第6条1
    文部科学大臣は、学校における換気、採光、照明、保湿、清潔保持その他環境衛生に係る事項について、児童生徒等及び職員の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準(学校環境衛生基準)を定めるものとする。
  • 第6条2
    学校の設置者は、学校環境衛生基準に照らしてその設置する学校の適切な環境の維持に努めなければならない。
  • 第6条3
    校長は、学校環境衛生基準に照らし、学校の環境衛生に関し適性を欠く事項があると認めた場合には、遅滞なく、その改善のために必要な措置を講じ、又は当該措置を講ずることができないときは、当該学校の設置者に対し、その旨を申し出るものとする。
  • 第27条
    学校においては、児童生徒等の安全の確保を図るため、当該学校の施設及び設備の安全点検、児童生徒等に対する通学を含めた学校生活その他の日常生活における安全に関する指導、職員の研修その他学校における安全に関する事項について計画を策定し、これを実施しなければならない。

学校薬剤師の任務

  1. 学校保健計画及び学校安全計画の立案に参加します。
  2. 「学校環境衛生基準」に基づき、学校の飲料水、水泳プール、排水、照明、空気、清潔、換気、騒音等について検査をし、指導と助言をします。
  3. 環境衛生・学校安全について指導と助言をします。
  4. 学校で使用する理科室薬品や保健室医薬品について指導と助言をします。
  5. 薬の正しい使い方教育、薬物乱用防止啓発活動等に協力します。
  6. 児童生徒等の心身の健康に関し、薬剤師職能を生かした健康教育・健康相談・保健指導を行います。

① 飲料水検査

「飲料水検査」のイメージ

学校では、衛生的な水を使用するために、使用水の日常点検と定期点検を行っています。 日常点検は、臭気、味などのほか、基準どおりの残留塩素が含まれているかを点検しています。 また、定期点検は、学校薬剤師により、化学検査をはじめ学校環境衛生基準に基づいて一般細菌、大腸菌などの検査を行っております。

② 学校プールの検査

「学校プールの検査」のイメージ

学校のプールは、今ではほとんどの学校で設置されていますが、入泳者の体の汚れ、発汗などで汚染される可能性があります。 衛生管理が適正に行われていないと、プール熱やハヤリ目などの感染がおこることがあります。 そこで学校薬剤師は、残留塩素濃度、有機物などの汚れ具合や、一般細菌・大腸菌などの検査を定期的に行っております。

③ 教室などの照度・照明

「教室などの照度・照明」のイメージ

児童・生徒が快適に学習を行えるように、教室などの照度・照明状況を定期的に検査しています。 照度・照明の検査は、一定の基準にそって測定し、基準に合わない場合は改善を提案します。 また、黒板などが見づらくないよう、まぶしさについても調査しています。

④ 教室の空気検査

「教室の空気検査」のイメージ

学校の建材などからでる化学物質で体の不調を訴える児童・生徒が増えています。特に北海道の冬は換気回数が減少し、教室内の空気が汚れます。 健康を守るために、定期的に教室内の温度、湿度、炭酸ガス濃度、浮遊粉じん、揮発性有機化合物などの検査を行っています。 また、アレルギーの原因でもあるダニの検査についても実施しています。

⑤ 騒音検査

「騒音検査」のイメージ

学校を取巻く外部環境の騒音は、教室内での授業の妨げになるだけでなく、学習能率の低下をまねき、また児童・生徒の心理状況にも影響をもたらします。 学校における騒音環境の調査は、騒音計を使って騒音レベルの測定をし、判定基準を超える場合は改善を提案します。

⑥ 薬物乱用防止教育

「薬物乱用防止教育」のイメージ

覚せい剤や麻薬などの薬物乱用は、人間と社会をダメにしてしまう深刻な社会問題です。青少年については、覚せい剤の乱用は減少傾向にあるものの、大麻及び合成麻薬のMDMA等の乱用については増加傾向にあり極めて憂慮される事態となっています。学校薬剤師は、学校関係者・関係機関と連携して、児童生徒を、覚せい剤、麻薬、大麻、シンナーなど薬物乱用の害から守るために薬物乱用防止教育への協力を行っています。

⑦ たばこ・アルコール教育

「たばこ・アルコール教育」のイメージ

近年、児童生徒の中には、喫煙・飲酒が原因と思われる生活習慣病の兆候が見られるなど憂慮すべき状況があります。児童生徒を、たばこ・アルコールの害から守り、将来にわたって健康で活力のある生活を支援するには喫煙・飲酒防止教育の推進が益々重要になっています。学校薬剤師は学校関係者と一緒にその推進にあたっています。

⑧ 薬の正しい使い方教育

「たばこ・アルコール教育」のイメージ

薬は諸刃の剣とよく言われます。薬は正しく使用しても副作用が起こってしまうことがあります。それが、誤った使い方であれば、副作用発生の危険性が増したり、逆に薬の効果が全く期待できなかったりします。学校薬剤師は児童生徒の発達段階に応じて、薬に関する正しい使い方の知識を持ってもらうために特別活動や総合的な学習の時間などを通じて指導に当たっています。

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